ノックアウトオプションとは、リスクを限定しながら少額からでも高い利益を狙える金融商品です。
あらかじめ後から変更できない損切り価格の設定が必要で、仮に予想と反する値動きをしても最大損失を限定できます。
また実質1,000倍のレバレッジを利かせることも可能で、数ある投資手段の中でもトップクラスに高いリターンが期待できることから注目されています。
ただ、ノックアウトオプションの仕組みは普通のFXトレードと比べて少々難しく、よく理解しないまま始めて数十分で損切りされたケースも。
この記事を読んでノックアウトオプションの使い方やメリット・デメリットを理解した上で始めましょう。
目次
ノックアウトオプションとは
ノックアウトオプションとは、あらかじめノックアウト価格(自動損切りライン)を設定しておくことで最大損失額を明確にした上でトレードができるオプション取引の一種です。
取引ごとの損失はあらかじめ設定した金額以上に増えることがなく、損失を限定できる点が特徴です。
より具体的にイメージするために図を用いてノックアウトオプションの仕組みを詳しく見ていきましょう。
ノックアウトオプションの仕組み
ノックアウトオプションの仕組みで重要なポイントは2つです。
- ノックアウト価格の設定
- オプション料金(必要証拠金)の計算方法
順に説明します。
ノックアウトオプション取引を始めるにはノックアウト価格の設定が必要です。
ノックアウト価格とは予想に反して値動きした際に損切りを行う価格ラインのこと。
後から変更できないノックアウト価格を設定しあらかじめ最大損失額を限定できる点がノックアウトオプション独自の特徴です。
また、ノックアウトオプション取引の必要証拠金(オプション料金)は現在価格とノックアウト価格との差額によって決定されます。
オプション料金=(差額+保証料)×1ポイント損益額
「保証料」とは、ノックアウト(自動損切り)される際にその価格からズレて約定されないようにあらかじめ前金を支払っておき、正確な価格で約定されることを保証するためのコストです。正式にはノックアウトプレミアムと呼ばれます。
「1ポイント損益額」とは、1pipあたりの損益額のことで取引する銘柄によって異なります。FX主要通貨のほとんどでは1ロットの注文量の場合1pip当たり100円の損益が動きます。
ここで具体例を見てみましょう。
・現在価格:22,000円
・ノックアウト価格:21,500円
・差額:500円
・保証料(ノックアウトプレミアム):8円
・1ポイント損益額:100円
・注文数:1ロット(1万通貨)
オプション料金は50,800円となり、エントリーに必要な金額も最大損失額も50,800円です。
ノックアウト価格と現在価格の幅を広げると必要なオプション料(証拠金)は高くなるものの、損切りまでの値幅は広く損切りされる可能性が低くなります。
一方、ノックアウト価格と現在価格が狭いと必要証拠金は少なく済むものの、損切りされる可能性も高くなります。
資金と損切り幅のバランスがノックアウトオプション成功のための1つの鍵となります。
ノックアウトオプションの使い方
次にノックアウトオプションで注文してから利益確定(もしくは損切り)までの流れを見ていきましょう。
注文の設定手順は以下の4ステップです。
- 銘柄選定
- ブル(上昇したら利益)orベア(下落したら利益)を選択
- ノックアウト価格(自動損切りライン)を設定
- 注文ロット数を設定
1. 銘柄選定
まずは取引する銘柄を選びます。
FXの為替通貨ペアや株価指数に連動したCFD銘柄、金や銀などの商品取引が可能です。
幅広い銘柄を選べるため、ボラティリティや値動きの読みやすさなど好みに応じて投資対象を使い分けられます。
2. ブルかベアを選択
次に今後の値動きは上昇か下落かを設定します。
上昇の場合は牛が角を突き上げる様を表す「ブル」、下落の場合は熊が腕を振り下ろす様を表す「ベア」を選びます。
3. ノックアウト価格を設定
いよいよノックアウトオプションの醍醐味であるノックアウト価格の設定です。
ノックアウト価格とは自動損切りラインのことで、これを設定することであらかじめ損失を限定できます。
損失限定の良さを活かすため、ノックアウト価格は発注後に変更できないため注意が必要です。
ブル(買い)を選んだ場合は現在価格よりも下に、ベア(売り)を選んだ場合は現在価格よりも上にノックアウト価格を設定します。
4. 注文ロット数を設定
最後に注文の数量を表す「ロット」を設定します。
ノックアウトオプションのロット数は証券会社によって異なるため、あらかじめ最小単位を確認しておきましょう。
また、ロット数を設定した時点でオプション料金(必要証拠金)が決定します。
ここで仮にノックアウトされた場合の損失額を認識しておきましょう。
自分の中の許容額よりも大きければロット数やノックアウト価格を狭めて調節します。
任意. 指値・逆指値設定
最後に指値・逆指値を設定することもできます。
指値はあらかじめ決めた価格で利益を確定するための注文、逆指値はノックアウト価格よりも早めに損切りしたい時にあらかじめ設定しておく注文です。
利益・損失の確定
注文を発注してエントリーが完了したら値動きに応じて利益や損失額が決まります。
設定した指値まで価格が動くか、手動で決済することで利益獲得。逆指値価格やノックアウト価格、もしくは手動で損切り決済することで損失が確定します。
ノックアウトオプションと海外FXを比較
ノックアウトオプションを始める前に海外FX業者でのFXトレードと比較検討するトレーダーが多いです。
どちらも高いレバレッジで少額資金から大きな利益を狙えるトレード方法として有名です。
それぞれ優れている部分があるため、自分に合った方を選ぶことでより理想に近い資金の増やし方ができるでしょう。
比較表 | ノックアウトオプション | 海外FX |
---|---|---|
最大レバレッジ | 最大1,000倍程度 | 最大3,000倍以上 |
損失リスク | 追証なし (損失はオプション料金まで) |
追証なし (口座残高まで) |
難易度 | 注文設定がやや難しい | 買いor売りで注文完了 |
最大レバレッジ
最大レバレッジは海外FX業者のほうが高い倍率でトレードできます。
ノックアウトオプションの最大倍率1,000倍は極限まで資金効率を高めノックアウト価格を狭い値幅で設定した場合です。
理論的には実現できるものの、すぐにノックアウトされてしまうため現実的な数値ではありません。
一方、海外FXでは平均で500倍程度、中にはレバレッジ無制限でトレードできる業者もありハイボラティリティ銘柄を好むトレーダーに愛用されています。
損失リスク
損失リスクはノックアウトオプションの方が限定しやすいです。
ノックアウトオプションの最大損失額は取引の際に立てたオプション料金だけで済みます。
一方、海外FXの場合は損失が膨らめば証拠金とは別に口座資金も減っていきます。
とは言えほとんどの海外FX業者でゼロカットシステムが採用されており、口座残高以上の損失や追証・借金のリスクはありません。
口座には必要最低限の資金だけを入れておけば、損失を限定しておくことはできます。
注文の難易度
注文の難易度は海外FXの方が低いです。
ノックアウトオプションは注文を出すまでに4つのステップを踏む必要があり、設定項目が多いのが難点です。
事実、仕組みを理解するまでに時間がかかったのではないでしょうか。
一方、海外FXは買いか売りを選ぶだけで注文発注ができます。海外FXトレードの仕組みは非常にシンプルです。
海外FXについてより詳しく知りたい方は「海外FXで失敗しないために知っておきたい8つのこと」を参考にしてください。
ノックアウトオプションのメリット
ノックアウトオプションのメリットは次の4つです。
- 損失リスクが限定されている
- 少額から始められる
- リスクコントロールできる
- 相場下落時も利益が狙える
損失リスクが限定されている
ノックアウトオプション最大のメリットは損失リスクの限定です。
あらかじめ設定したノックアウト価格は後から変更できません。
これによって感情的な判断で損切りを先延ばしにして結局いつまで経っても損切りできずに含み損が膨らんでいく、なんて事態を回避できます。
FXトレードで資金を失う大きな原因の1つは損切りができないこと。これを解決してくれるのがノックアウトオプションです。
少額から始められる
ノックアウトオプションはレバレッジを利かせてポジションを持てるため、少額からでも大きな利益を狙えます。
国内FXでは最大レバレッジが25倍までに規制されているものの、ノックアウトオプションでは1,000倍近いレバレッジも実現可能。
単純計算で40倍もの資金効率が実現できることになります。
最低必要資金は業者や取引する銘柄によって異なりますが、数百円からトレードすることもできるため利用者は少額から大きな利益を狙いたい方の割合が大きいです。
リスクコントロールできる
ノックアウトオプションではリスク度合いも自分でコントロールできるのがポイントです。
ノックアウト価格と現在価格の差額によってリスク度合いが変わり、現在価格と近づけるとリスクは高く、広げるとリスクは低くなります。
ただし値幅を広げるほど必要資金も高くなります。
自分の資金量とリスク許容度を照らし合わせてリスクコントロールしましょう。
相場下落時も利益が狙える
FXでは当然ですが、相場下落時も利益を狙えるのは嬉しいポイントです。
株式投資の場合、証拠金取引口座を持たない投資家は株を買って売ることで利益を狙う必要があります。
※配当や優待を除く
つまり相場下落には利益を狙いにくくなります。
一方ノックアウトオプションではブルとベアが選択でき、上昇・下落の両局面で利益を狙えます。
どんな相場でも変わらず利益チャンスがあるのは、トレーダーにとって理想の状態ですね。
ノックアウトオプションのデメリット
ノックアウトオプションのデメリットは次の3つです。
- 指値でエントリーできない
- ノックアウト価格が変更できない
- ポジション保有期間は1年まで
指値でエントリーできない
ノックアウトオプションの新規注文は成行注文のみです。
つまり「現在価格より」上か下かを予想する必要があります。
このため、例えばあらかじめ直近安値まで下落した後の反発を予想して「直近安値の価格に来たらエントリー」というような予約をしておくことができません。
エントリーポイントとして狙いたい価格がある場合は、その価格まで値が動いてから手動でエントリーしましょう。
ノックアウト価格が変更できない
ノックアウト価格が変更できない点は見方によってはデメリットとも言えます。
仮にエントリーの際の相場の見方が間違っていたと思っても後から訂正できないからです。
どうしても今のポジションを解消したい場合は手動で決済をしてその時点で利確または損切りすることはできます。
判断ミスでノックアウトされるよりは一度決済する方が得策です。
ポジション保有期間は1年まで
ノックアウトオプションでは1年を超える長期的なポジション保有はできません。
長期のポジショントレードはFXで行いましょう。
高いレバレッジで長期トレードをしたいなら、最大レバレッジが3,000倍以上かけられる海外FXという手もあります。
ノックアウトオプションの証券会社を比較
国内でノックアウトオプションを扱っている証券会社は2社のみです。
イギリスの大手証券グループであるIGグループの日本法人「IG証券」と後発の「FOREX.com」。
証券会社比較 | IG証券 | FOREX.com |
---|---|---|
FX通貨ペア | 約100種類 | 26銘柄 |
株価指数 | 28銘柄 | 17銘柄 |
商品 | 約30銘柄 | なし |
最小取引単位 | 1万通貨 | 1,000通貨 |
スプレッド(USD/JPY) | 0.6 | 0.9 |
スプレッド(GBP/JPY) | 2.0 | 2.5 |
スプレッド(EUR/JPY) | 1.1 | 1.4 |
大きな違いは以下の3つです。
- 取扱銘柄の種類
- 最小取引単位
- スプレッド(取引コスト)
1. 取扱銘柄の種類
取扱銘柄数はIG証券の方が豊富です。
特にハイボラティリティ銘柄としてトレーダーに人気のゴールドを含む商品取引はIG証券のみが対応しています。
2. 最小取引単位
最小取引単位はIG証券が1万通貨、FOREX.comが1,000通貨からです。
このため数百~数千円の資金からノックアウトオプションをしたい方はFOREX.comで始める方が多いです。
3. スプレッド(取引コスト)
公式に発表されているスプレッドではどの銘柄でもIG証券の方が狭いスプレッドで提供しています。
スプレッドは両社ともに原則固定スプレッド制を採用。
指標発表による相場急変時などを除いて一定のスプレッド(取引コスト)で取引できるシステムです
それぞれの証券会社でノックアウトオプションをしている方の評判も合わせて見ていきましょう。
IG証券の評判・口コミ
IG証券は取扱銘柄数の豊富さが評判です。
特にCFD(株価指数や商品取引)銘柄の豊富さは、他の証券会社と比較しても頭1つ抜けている様子。
出典:Twitter@5dba0
ただ、取引ツールを使いづらいと感じている方もいるようです。
出典:Twitter@kohou_one
IG証券は玄人向けという口コミもあるため、操作に慣れるまでに時間はかかりそうです。
FOREX.comの評判・口コミ
FOREX.comはIG証券よりも使い勝手が良い点が評判です。
出典:Twitter@Jigsaw0130
また、最小取引単位が1,000通貨からのためIG証券よりも少ない資金から取引できます。
出典:Twitter@forex38098605
何を重視するかによってどちらの証券会社が合っているか分かれることになりますね。
・豊富な銘柄を取引したい、金を含む商品取引もしたい
→IG証券
・取引ツールはシンプルで使いやすい方が良い
→FOREX.com
・なるべく少ない資金から増やしたい
→FOREX.com
自分の資金状況やトレードレベルに合った証券会社を選んでください。
シンプルなハイレバトレードをしたいなら海外FXという選択肢もあります。興味があればおすすめの海外FX業者の記事を覗いてみてください。
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