FXファンドとは、簡単に言えば投資信託のFX版です。
預けた資金をプロのファンドマネージャーがあなたの代わりに運用。年利10%以上の利回りが狙えるのが魅力です。
高い利回りが魅力の反面、ファンドの運用力や運用方法がイメージできず不安という方もいるでしょう。
そこでこの記事ではFXファンドの仕組みや運用モデル、運用リスクの解説から他の投資商品との比較も行います。
目次
FXファンドとは
楽天信託から新サービスが登場したことにより、再度注目を集めているFXファンド。
投資信託が株や債券、REITを投資対象としているように、FXファンドではFXを投資対象として投資家の資金を運用します。
AIアルゴリズムやシステムトレード、プロトレーダーの裁量取引など運用手段はファンドによって様々。
そんなFXファンド、実は楽天信託FXファンドが話題になる何年も前から存在している投資商品なのです。
FXファンドが高利回りを実現している仕組みを掘り下げていきます。
FXファンドの仕組みを図解
FXファンドの仕組みは下図のようになっています。
ファンドが複数の投資家から投資金を募り、まとまった資金をFXに投資。FXトレードで得た利益のうち、20%程度がFXファンドの取り分、80%程度が投資家たちの取り分として分配金が投資家に返還されます。
投資家はお金を預けるだけで間接的にFXに投資が出来るため、投資のレベルに関係なく誰でも利益を稼ぐことができる投資方法です。
自分でチャートや値動きを追う必要がないことからファンドを活用した投資は「ほったらかし投資」とも呼ばれています。
ファンドの運用モデルは3パターン
FXファンドの運用モデル(=投資ルール)は大きく分けて3パターンです。
- AI運用モデル
- システムトレード
- プロの裁量トレード
どのモデルを採用しているかによる優劣はありません。
しかし単一モデルだけのファンドよりも複数モデルを組み合わせているファンドの方が利点は大きいです。
AI運用モデル
AI運用モデルはAIに過去のチャートを学習させて未来の値動きを予測しながら売買を行うシステム。
楽天信託FXファンドで活用されているモデルですね。
近年、投資へのAI活用は急速に進んでおり、AIの分析・予測精度も年々向上しています。
システムトレード
システムトレードはあらかじめ設定した売買ルールに則って自動売買を繰り返す仕組みです。
一般の個人投資家の間でも利用者が増えていますが、FXファンドは独自のシステムを開発して運用しています。
いわばプロのシステムトレーダーの運用に乗っかって投資ができるモデルと言えます。
プロの裁量トレード
プロが活躍するのはシステムトレードだけではありません。
プロのトレーダーによる手動トレードで高い収益を狙うFXファンドもあります。
投資をしていると必ず次元の違う利益を稼ぎ出す凄腕トレーダーを見かける機会があります。誰しも憧れや羨ましさを感じるものです。
そんな雲の上の存在のような凄腕トレーダーに資金を預けてお金を増やしてもらえると考えると、夢のような話しです。
FXファンドの歴史は意外にも深い
FXファンドは楽天信託FXファンドが始まりではありません。
日本でFXファンドが流行したのは2000年代後半~2010年代前半頃。
月利3~5%、年利36~60%を実現する高利回りFXファンドや東証1部上場企業の子会社が運営するFXファンドもありました。
引用元:DIAMOND online「月利5%を叩き出すFXファンド 驚異の運用力の正体とは」より
しかし、その人気に乗じて投資詐欺を働く悪徳業者も…。
そんな状態を受けて金融庁が黙っているはずがありません。一斉に取り締まりを強化し、悪徳な業者は淘汰されました。
結果、現在のようにFXファンドをあまり見かけない状態になっています。
FXファンドのメリット
他のほったらかし投資商品と比較したときのFXファンドのメリットは4つ。
- 高い利回りを実現
- どんな相場でも利益が狙える
- レバレッジ取引をプロにお任せ
- 手数料が成果報酬制
FXファンドの投資家にとってそれぞれどんな利点があるのか詳しく見ていきます。
高い利回りを実現
FXファンド最大の特徴は何と言っても高い利回り。他の投資商品が比べ物にならないほどの利回りを狙えます。
FXファンドの高利回りの秘訣は次に解説する「どんな相場でも利益が狙える」こと、「レバレッジ取引をプロに任せられる」こと。
一般的に投資商品の利回りについて言及する時は年間利回りで比べますが、FXファンドでは月利で比較することが多いです。
中には月利だけで他の投資商品の年間利回りを超えるファンドがあるほどです。
どんな相場でも利益が狙える
FXファンドなら上昇相場・下落相場の両局面で利益を狙うことができ、常に利益が期待できるトレードが可能です。
一体なぜでしょうか?
答えはFXという投資商品の特徴にあります。
FXは買いのロングポジションと売りのショートポジションのどちらを選ぶこともできます。
つまり相場が上がっても下がっても利益を狙うことができるのです。
一方、インデックスファンドなどの投資信託の多くはベンチマークとする株価指数が上昇している時だけしか利益が狙えません。
株価指数が下落している時は損失にしかならないのです。
上昇・下落の両局面で利益が狙えることがFXファンドが高利回りを実現する秘訣の1つです。
レバレッジ取引をプロにお任せ
FXファンドの高利回りの秘訣2つ目はハイリスク・ハイリターンであるレバレッジ取引をプロに任せられること。
言い換えるとFXファンドならハイリスク・ハイリターンのうち、リスク面だけを抑えてハイリターン投資が可能になります。
本来の資金の何倍ものお金を動かせるレバレッジトレード。大きな利益を狙える反面、狙いと逆に相場が動けば損失も大きくなります。
このため「レバレッジ取引=諸刃の剣」と考えられがちです。
しかしプロのリスクヘッジにかかればレバレッジは力強い武器に。損小利大のトレードで高い利益が狙えるわけです。
手数料が成果報酬制
FXファンドのコスト体系は「高い利回りを実現するファンドならでは」です。
FXファンドの多くは成果報酬制の手数料体系を採用しています。
成果報酬制 | 固定報酬制 | |
---|---|---|
手数料率 | 20%程度 | 3%程度 |
メリット | 利益が発生した時だけかかる | コストが安い |
デメリット | コストが高い | 損失に加えてコストもかかる場合も |
投資信託など他の投資商品では固定報酬制の場合がほとんどです。
利益が出なくてもファンド側には手数料収入があるため、利益に対してあまり積極的な運用をしないことが問題視されています。
一方FXファンドやヘッジファンドなどの高い収益を目指して運用する絶対収益型のファンドでは成果報酬制の場合がほとんど。
利益が稼げなければファンドの収入もわずかになるため、ファンドのミッションは高い利益をあげることです。
つまり投資家とファンドの利害が一致していることから投資家にとって理想的な投資が実現する可能性が高いです。
FXファンドのデメリット
一方FXファンドにもデメリットとなりうる点が4つあります。
- 為替急変動のリスク
- レバレッジ取引のリスク
- 手数料が20%程度かかる
- 月途中の解約不可のサービスあり
それぞれの懸念点を詳しく見ていきます。
為替急変動のリスク
FXファンドに限らず、FXトレードをしていると突発的なニュースによって為替が急変動することがあります。
引用元:SmartChartPLUS「ドル/円」より
これは地震やテロなど、AIやプロトレーダーの目を持ってしても予知できないものも含みます。
このタイミングで為替急変動の方向とは反対ポジションを持っていると大きな損失になるリスクも。
とはいえ、そこはプロのファンドです。
あらかじめ一定のラインで損切り決済の注文を入れて運用しているでしょうから、その後のファンドの資金に大きな影響が出るほどの損失は出ないでしょう。
レバレッジ取引のリスク
レバレッジ取引は本来資金の何倍もの金額を運用できる制度です。
高い利益を狙える反面、損失もその分大きくなります。
このためレバレッジを活用したFXトレードは「ハイリスク・ハイリターン」に分類されることが多いです。
しかしやはりそこはプロのファンド。
レバレッジ取引によるリスクもヘッジした上で運用するのが当たり前です。
いかにリスクを抑えてリターンを大きくするかはプロなら常に探求していることです。
手数料が20%程度かかる
FXファンドの手数料は20%程度かかる場合が多いです。
一般的な投資信託の手数料が3%ほどと考えると非常に高額な手数料体系です。
ただしFXファンドは成功報酬制であり、投資信託は固定報酬制がほとんど。
成功報酬制を採用しているファンドには利益を稼ぎだす自信を感じます。
月途中の解約不可のサービスあり
FXファンドの中には月の途中で解約できないファンドがあります。
例えばブライト・アセットが運営するFXファンドなどです。
※現在新規の募集を停止中
月の途中で解約できない理由は解約対応のコストがかかることや運用資金に変動が起きてパフォーマンスに悪影響を及ぼすからでしょう。
とは言え余剰資金でファンド投資を行っていれば大きな問題はありません。
FXファンドと他のほったらかし投資を比較
FXファンドとその他のほったらかし投資商品を比較しました。
以下の比較表をご覧ください。
FXファンド | 投資信託 | 高配当株投資 | ロボアド | |
---|---|---|---|---|
想定年間 利回り |
10%~ | 3~5% | ~5% | 3~5% |
最低投資金額 | 1万~100万円 | 100円 | 3万円ほど | 1万円 |
リスク | 高 | 中 | 低 | 中 |
ファンドラップ | ソーシャルレンディング | 不動産投資型 クラウドファンディング |
株式投資型 クラウドファンディング |
|
想定年間 利回り |
3% | 5~12% | ~8% | 3~12% |
最低投資金額 | 300万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
リスク | 中 | 高 | 中 | 中 |
FXファンドは他のほったらかし投資と比べると比較的リスクが高い投資商品に分類されます。
FXの特性上、レバレッジ取引や為替急変動のリスクがあるからです。
しかしその反面高い利回りが狙える点が最大の特徴。
数ある投資手段の中でもトップクラスの利回りが期待できます。
投資商品選びではリスクとリターン、このバランスを考慮するのが一般的です。
高いリターンで大きくお金を増やしたいけど、あまりにリスクが高い投資は避けたい方も多いでしょう。
実はFXファンドのリスクは運用担当者の技量によって抑えられる部分でもあります。
FXファンドのサービス比較
具体的なFXファンドサービスにどんなものがあるか見ていきましょう。
楽天信託FXファンド以外にも現在稼働中のファンドがあります。
楽天信託FXファンド | ブライト・アセット | |
---|---|---|
最低投資金 | 1万円 | 100万円 |
取引通貨 | ドル円 | ドル・ユーロ・円・ポンドの 相互6通貨ペア |
最大レバレッジ | 5倍 | ? |
運用モデル | 3つのAI運用モデル | システムトレード |
楽天信託FXファンド
2020年よりサービスを開始した新しいFXファンド、楽天信託FXファンド。
大手企業の子会社が運営しているファンドということもあり、今最も知名度の高いFXファンドです。
AIを活用した運用モデルで過去の相場から未来の相場を予測しています。
半年以上の長いスパンでトレンドが継続しているような一方向の相場では高いパフォーマンスを発揮しています。
一方でチャートが小刻みに上下するような方向性が不透明な相場は苦手な様子。
何か大きなイベントが起こりドル円相場が上昇・下落を長期的に続ける時にはチャンスとなります。
ブライト・アセットFXファンド
ブライト・アセット株式会社のFXファンドは現在募集停止中です。
しかしFXファンド運用の仕組みで興味深い点が3点。
- 通貨ペアが豊富
- システムトレード運用
- 100万円からの投資
通貨ペアが豊富
6ペアもの通貨を取引対象としているのが特徴的です。
これはシステムトレードによる自動売買だから成せるワザです。
楽天信託FXファンドはAIが出した売買サインを人が受けて発注しているため、売買にあたって人の手が必要になります。
取引通貨ペアを増やそうとすればそれだけ人員が必要になり、人件費がかかります。
一方自動売買ならばシステムさえ用意すれば自動的に売買できるため、少人数で運用できます。
システムトレードならではの豊富な取引通貨ペアです。
システムトレード運用
ブライト・アセットではシステムトレードによる自動売買を採用。
システムの調整はプロのファンドマネージャーが行うものの、売買注文などは全て自動で行われているということです。
人がAIの売買サインを受けて発注をかけるよりも相場の急変動に対応しやすいのがメリット。
反面、システムの設定がいまいちだと高い利益は狙えないのがデメリットになります。
100万円からの投資
100万円からの投資金額はファンド投資では一般的。
楽天信託FXファンドが1万円からと考えると、ブライトアセットの方がより本来のファンドに近しい形態だと言えます。
FXファンド投資の始め方
FXファンドの始め方は2パターンです。
- パターン1:Web上で完結
- パターン2:メールや電話で問合せ
楽天信託FXファンドはパターン1、ブライト・アセットはパターン2にあたります。
パターン1:Web上で完結
楽天信託FXファンドの場合、楽天銀行の口座を開設している方はHPの申込ボタンからログインすることで始められます。
申込にあたり以下の6つの項目に回答します。
- 資産の状況
- 運用資産の性格
- 所得・収入の状況
- 取引の経験
- 投資目的
- 投資方針(リスク許容度)
オンラインで解決するためファンド投資を始めやすいパターンですね。
反面、ファンドの仕組みを理解しきならないまま始める人も多いです。
パターン2:メールや電話で問合せ
ブライト・アセットでは現在新規の募集を行っていないこともあり、メールまたは電話での問合せのみを受け付けている状態です。
Web上で直接申込をするのではなく、一度資料請求を挟んでファンドの性質を理解してから申込できる形式。
ブライト・アセットのホームページ上では確認できませんが、おそらく担当者と投資家の個別面談も行う場合がほとんどです。
ファンドには説明責任が法律で規定されているため、商品の性質をしっかりと理解した上で投資を始めることができます。
※利用規約を厳守の上、ご投稿ください。