今後5年間で年平均30%以上の市場成長が予測され、急速に規模を拡大しつづけているVR市場。
メタバースや遠隔医療など次世代サービスの中核を担う技術でもあり、ますますVR関連銘柄に注目が集まっています。
そんなVR関連銘柄のなかで力をつけ、台頭してくるのはどんな企業か。
VR技術の変遷と今後の発展性とともに、VR関連銘柄で有望な日本株と米国株を見ていきましょう。
目次
VR関連銘柄は今後ますます成長していく
2016年頃に広く認知されるようになったVR。
当時、VR関連銘柄は注目テーマ株として市場からの注目を集めていました。しかしその後は特に大きな動きがなく、市場の熱もだんだんと冷めつつありました。
この流れを止めたのは紛れもなく「メタバース」です。
スマホ以来の大変革を起こすと言われるメタバース=仮想空間の実現にはVR関連技術が必要不可欠。
むしろVR技術開発の進捗度合いがメタバース世界の実現度を左右すると言っても過言ではありません。
メタバースが普及し始め、当たり前になるとき、VRもまた当たり前のものになっている。
今はまだ一般家庭に普及していなくても、メタバースがスマホのように当たり前の存在になればVR関連銘柄は否が応でも成長していくでしょう。
ここではメタバース実現の中核を担うVRがどんな技術なのか、メタバースとどんな関係性があるのか見ていきましょう。
VRとは
VRとはVirtual Realityの略で「仮想現実」を意味します。
簡単に言うと、現実ではないが現実と同じような体験を可能にする技術のことです。
VRと聞いてまず最初にイメージするのは、ゴーグルの形をしたヘッドセットではないでしょうか。
5年程前、私も池袋のサンシャインシティ(ショッピングセンター)でVRゴーグルをつけ、プラネタリウムを見る体験をしたことがあります。
確かに没入感があり、これまでの映像体験とは違う感動をしたのを覚えています。
ただ、本当にこれが流行るのか?ヘッドセットをわざわざ購入するほどか?と物足りなさを感じたのもまた覚えています。
あれから5年、VRの技術は大きく前進し、さらなる進化を遂げていました。
VR、AR、MRの違い
この5年の間にVRの他にもARやMRと呼ばれる技術が登場しています。
それぞれの違いを次の表にまとめました。
VR | AR | MR | |
---|---|---|---|
意味 | 仮想現実 (Virtual Reality) |
拡張現実 (Argumented Reality) |
複合現実 (Mixed Reality) |
できること | 映像の世界に入り込んだような体験ができる | 現実世界に2D(平面)の仮想世界を重ねられる | 現実世界に3D(立体)の仮想世界を重ねられる |
活用事例 | VRゴーグル VRスポーツ観戦 |
「ポケモンGO」 「インスタグラム」のカメラフィルター カメラアプリ「SNOW」 |
建築物CGシミュレーション Microsoft HoloLens キャノン MREAL |
【ARのイメージ】
出典:MoguraVRAR活用事例7選 ビジネスから身近な「便利」まで
【MRのイメージ】
出典:YouTubeデザイン性検証【キヤノン公式】
VR元年と呼ばれる2016年当時は現実世界に近い仮想の映像を、ゴーグルを着用することで見られる技術という位置づけでした。
それからAR、MRと技術発展を遂げ、仮想世界だけでなく現実世界の映像の上に仮想世界が重ねられるように変化しました。
技術の発展に伴って、VR関連の市場規模は過去5年で年間平均71%もの市場成長率を記録。
技術発展とそれによって生まれる経済的な価値が連動しているため、今後ますますVR関連銘柄は成長していくと予想できます。
XRの登場とメタバースの未来
さらにVR,AR,MRを総称して「XR(クロスリアルティ)」という言葉が生まれました。
その背景にはVR関連技術それぞれの境界線を引くのが難しくなったという理由があります。
1つのサービスや商品を作るにあたり、VR, AR, MRの技術が複合されるようになったからです。
そしてXR(VR関連技術)によって実現するのが仮想空間「メタバース」。
メタバースの世界では現実世界と同様の社会活動が行われ、さらに現実世界では実現できない仮想空間ならではの体験も可能になります。
例えば、ゲームの世界で他のプレイヤーと交流ができたり空間内を自由に移動できる「あつまれ どうぶつの森」や「Fortnite」もメタバースの一例です。
さらに2030年にはフルダイブの世界も実現すると言われています。
フルダイブとは仮想空間に五感を接続し、コントローラーなどを使わずとも自分の身体を動かすのと同じように仮想世界を動き回ることができる技術です。
このようにVR関連技術、XRの今後はますます発展の一路をたどっていきます。
市場の拡大とともにVR関連銘柄の株価も上昇を遂げていくでしょう。
VR関連銘柄を伸びしろ順にピックアップ
本記事ではVR関連銘柄を日本株と米国株に分けてご紹介します。
将来的な伸び幅が大きそうな銘柄から順に以下3点の情報を添えてランキングを作成しています。
- 株価
- 時価総額
- VR分野への関連性
日本株のVR関連銘柄
VR関連銘柄 | 株価 | 時価総額 | 関連性 | |
---|---|---|---|---|
1 | YE DEGITAL(2354) | 565円 | 約102億円 | Microsoft Mixed Realityパートナープログラム唯一のシステムインテグレーター認定会社。 |
2 | メディア工房(3815) | 356円 | 約37億円 | XR技術を活用した実写立体動画撮影システム「SUPERTRACK」を提供。 今後は録画のみならずLIVE配信への展開や Facebook(Meta)傘下のOculusなどのデバイスにも対応予定。 |
3 | gumi(3903) | 879円 | 約273億円 | 子会社を通じて世界中のVRベンチャーなどに積極投資。 |
4 | イマジカ・ロボットHD(4312) | 675円 | 約313億円 | AR/VRの高度な映像技術に強み。 |
5 | キャノン(3681) | 2,583円 | 約3兆5000億円 | MRシステム「MREAL」を提供 |
6 | SONY(6758) | 13,800円 | 約17兆6000億円 | PlayStationVRを提供。ゲームを提供するためのプラットフォームとしての世界的地位確立。 |
※株価情報は2021年11月11日終値時点
米国株のVR関連銘柄
VR関連銘柄 | 株価 | 時価総額 | 関連性 | 1 | Meta(FB) | 327.64ドル | 7755億ドル | 2014年にVRヘッドセットメーカーのOculusを買収。 世界No.1のVRヘッドセット事業へと育てる。 年間1兆円をメタバース領域に投じる |
---|---|---|---|---|
2 | Qualcomm(QCOM) | 164.42ドル | 1842億ドル | 世界で初めて5Gに対応したXRプラットフォームである「Snapdragon XR2」を提供。 Oculusの最新製品にも採用されている。 |
3 | Snap(SNAP) | 53.29ドル | 722億ドル | SNSアプリ「Snapchat」を提供。VRで仮想的に商品を試着できるサービスを開発。 また、ロゴをスキャンするだけでその商品の取り扱い説明を表示できるサービスも開発。 VR/ARを活用したEC分野へ意欲 |
4 | Nvidia(NVDA) | 294.59ドル | 7598億ドル | VRのリアリティを実現するために必要なGPUメーカーの大手。 |
5 | Matterport(MTTR) | 21.27ドル | 54億ドル | 不動産リモート内覧向けVRサービスを提供。 3Dデータプラットフォームを持つ。 |
6 | Lumentum(LITE) | 91.16ドル | 66億ドル | 3Dセンサーや半導体レーザーに強み。 |
7 | Alphabet(GOOGL) | 2915.33ドル | 8770億ドル | YouTubeが360°動画に対応 Google EarthのVR映像を提供 |
8 | Microsoft(MSFT) | 330.80ドル | 2兆5000億ドル | MRヘッドセット「Microsoft HoloLens」を提供。 MRフレームワーク「Mesh」を提供。 オンライン会議に3Dアバターで参加可能に。 |
9 | Apple(AAPL) | 147.87ドル | 2兆4260億ドル | 2022年にMRヘッドセット発売予想。 次世代デバイスに強み。 |
※株価情報は2021年11月11日終値時点
大型株にもさらなる成長チャンスあり
VR関連銘柄としてご紹介した企業の中には、既に世界時価総額ランキングのトップ層に位置する超巨大企業もあります。
キャノンやSONY、アメリカのビッグテック(GAFAM)のうち4企業などです。
これらのように既に世界的地位を確立している企業にも、まだまだ業績も株価も伸びしろが残されていると考えています。
例えば、下図をご覧ください。
GAFA4社の2007年~2020年の売上高の推移を表したグラフです。
圧倒的な地位を確立した後もますます業績の拡大を続けていることが分かります。
そして株価も業績拡大に伴って上昇を継続。
下図は既にビックテックと呼ばれるようになって久しい2019年初頭から現在までのGAFAの株価上昇率を表したチャートです。
出典:TradingView
大型株には今から投資してももう遅い?という固定観念を捨てて企業の将来の姿を想像することで、将来的な価値で投資判断できるようになります。
まだまだVR関連分野は急速に成長していて、メタバースの登場でその勢いはさらに加速していくでしょう。
メタバース時代にどの企業が覇権を握っているのか、XR分野のトッププレイヤーはどこか?どこまで伸びるのか?を考えると理想の投資先が見えそうです。
VR以外のメタバース関連テーマ株
現在メタバース関連銘柄の1つとしてVR銘柄が注目を集めています。
メタバースの中核を担う技術のため、必然的に市場の注目も集まりやすいのは確かです。
その他にもVR関連銘柄と合わせて注目したいメタバース関連テーマは次のとおり。
- クラウド
- 半導体
- 5G
- キャラクター・IP
- テーマパーク
- ゲーム
上記テーマに該当する厳選したメタバース関連銘柄は別記事でご紹介しています。
興味があればご覧ください。
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