cis(シス)氏は株式投資界の生ける伝説。
10分で6億円、2週間で40億円……。
投資家の間で語り継がれる芸術的なトレードは、どれも目を疑う桁数の利益を稼ぎ出しています。
一見ハイリスクハイリターンのギャンブル投資で一攫千金に成功したようにも見えますが、実は確かな仮説のもと鋭い投資判断で実現した狙い通りの大勝利。
そんなcis氏の投資手法は意外にもシンプルな順張りのトレードでした。
目次
cis氏の実力を表す株の伝説エピソード
引用元:ダイヤモンドザイ「cisさんは、なぜ株で230億円もの資産を築けたのか?」より
数々の億越え投資家からも尊敬されるcis氏。
その理由はただ莫大な資産を築いているからではありません。
cis氏を伝説たらしめているのは、人々を魅了するトレードそのものです。
一人の力で日経平均を動かせる男
「一人の力で日経平均を動かせる男」とまで呼ばれるcis氏。
相場歴21年の中で数々の伝説的トレードを残しています。
そのうち特に衝撃的な伝説を2つピックアップしました。
2005年:ジェイコム株誤発注事件
2005年に発生したジェイコム株誤発注事件。数々のニュースで取り上げられ、大きな話題を呼びました。
みずほ証券の担当者が「1株61万円の売り」注文を誤って「1円で61万株売り」注文を出してしまい、価格の乱高下を招いた事件です。
大量の誤発注を確信したcis氏は、一時ストップ安になったジェイコム株を買えるだけ買い。
その後ストップ高になった時点で全株を売却。
この間たったの10分で6億円もの利益を獲得しました。
咄嗟の判断力と思い切りの良さが生み出した伝説的短期利益です。
ちなみにジェイコム株誤発注事件ではcis氏と並ぶ2大トレーダーとして名前が上がるBNF氏も約20億円の利益を獲得しています。
2015年:チャイナショック
2015年のチャイナショックでは約40億円もの利益を稼ぎ出しました。
2015年、15年ぶりの高値水準にあった日経平均株価は中国株のバブル崩壊による「チャイナショック」の影響で大暴落。
引用元:Investing.com「日経225先物」より
日経平均が実際に暴落を始めるのを株価の動きから読み取ったcis氏は、事前に約300億円もの「売り」を仕込んでしました。
結果2週間で約33億円の利益を確定。
さらに反発を察知したcis氏は市場の底値ピンポイントで今度は173億円の「買い」に転換。2日で約7億円の利益を積み上げました。
市場の転換点を事前に読み、売りと買いの判断を迅速かつ的確に行うcis氏のトレードは多くの投資家を魅力しました。
引用元:Twitter@cissan_9984より
まさに伝説と呼ぶべき株トレーダーの1人、cis氏。
そんなcis氏も初めから大勝ちしていたわけではありません。
ある出会いをきっかけに230億もの資産を築く日本最高クラスのトレーダーへの道を歩み始めました。
相場歴21年 経歴と資産推移
cis氏が株式投資を始めたのは、2000年の21歳の頃。
株を始めるまではパチンコで2,000万円もの貯金を作っていたcis氏ですが、競馬に大負けしなんと資産は1,000万円に。
この大敗をきっかけにギャンブルではなく「投資」で勝負することを決意します。
しかし投資の世界はそう甘くありませんでした。
1,000万円あった株の資金はたったの2年で104万円に。約10分の1まで資金を減らします。
それでも諦めずに投資を継続したのが、伝説の投資家まで上り詰めた男の素質を感じさせます。
負け続けて口座の残高が104万円にまで減りました。でも株は3年間は続けてみようと思っていました。引用元:ダイヤモンドザイ「cisさんは、なぜ株で230億円もの資産を築けたのか?」より
まさに株を始めて3年目。成果が出なければ撤退もあり得たこの年に、継続が功を奏し100万円まで減らした資産は翌年に6,000万円まで急拡大。
その後も右肩上がりで資産拡大を続け、2018年にはcis氏の代名詞とも言える「資産230億円」に到達しました。
【資産推移】
2000年21歳:1,000万円
2001年22歳:1,000万円
2002年23歳:104万円
2003年24歳:6,000万円
2004年25歳:2億円
2005年26歳:29億円
2007年28歳:50億円
2008年29歳:55億円
2009年30歳:58億円
2015年36歳:200億円
2018年39歳:230億円
株を始めて1~2年目に負け続きだったcis氏が今や伝説のトレーダーと呼ばれるようになった大きな転換点。
それは2002年末に参加した匿名掲示板「2ちゃんねる」の株オフ会。
そこで出会った凄腕投資家たちに影響されて投資手法を一新したことで驚くように勝てるようになったと言います。
手法はシンプル「順張りデイトレード」
cis氏の投資手法はシンプルな順張り投資による短期トレード(デイ~48時間)。
値動きに逆らわず、株価の動く方向に乗っかって上昇相場なら買い、下落相場なら売りで稼ぐスタイルです。
シンプルな投資手法ながら伝説と呼ばれるcis氏の投資手法にはどんなポイントがあるのか、紐解きます。
過去の失敗と投資手法の変遷
cis氏は株を始めた当初「割安株への長期投資」を行っていました。
しかし1,000万円の資金は見る見るうちに減っていき、10分の1に。
そんな時成功への転機となった2ちゃんねるのオフ会で出会ったのは、短期トレードで億を稼ぐ凄腕のトレーダーたちです。
億単位で勝っている人ほど、短期の値動きを追っていた。それで僕も短期トレードに変えました。引用元:ダイヤモンドザイ「cisさんは、なぜ株で230億円もの資産を築けたのか?」より
cis氏いわく「割安とか割高とか、将来この会社の業績は伸びそうだとか、そういった要素は自分が勝手に思い込んでいるにすぎない」。引用元:PRESIDENT Online「230億円稼いだ男”超シンプル”な投資哲学」より
だからこそ今目の前にある短期の値動きを見るように手法が変化しています。
現在の投資手法のポイント
cis氏がシンプルな手法で230億円まで資産を拡大できたポイントは大きく2つ。
①利確を急がない
②損失を最小限にとどめる
買った株が上昇していても、そろそろ下がるんじゃないかと何の根拠もなく不安になりすぐに利確してしまう経験はありませんか?
その結果「あの時売っていなければ今頃何倍になったのに」と後悔することも…。
反対に根拠のない持ち越しで損失が拡大。損切りが遅れて大けがをしたこともあるかもしれません。
どちらも最終的な利益を減らしてしまう大きな原因です。
改善するには投資判断に根拠を持つことが大切。
cis氏いわく「相場のことは相場に聞くしかない」。
自分の感情や思い込みではなく、株価の値動きを見て買った銘柄が下がり始めたら買い増しではなく利確・損切りをします。
目指すのは損失を小さく、利益を出来る限り増やす投資。
勝率3割でもトータルで利益を爆増しているcis氏が鉄則として掲げる投資のポイントです。
不二ラテックスの大株主
短期トレードを行いながらも長期目線で保有している銘柄もあります。
大株主として約1億円を投じている不二ラテックス(5199)です。
30,000株を保有しており、2021年5月14日現在の終値は2,615円。
時価7845万円ですね。
リスクヘッジのために倒産リスクの低そうな会社に1億円ほど資金を分けておこうという考えだったそう。
ダイヤモンドザイでBNF氏と対談をした2007年当時には既に保有していたことが分かります。
保有開始以降2倍以上の高値まで株価急騰した2020年11月を経ても保有株数に変化がありません。
あくまでリスクヘッジ用に保有しているだけだからなのか、数千万円の利益にはあまり興味がないのか……。
売却しなかった理由にcis氏の投資の本質が隠れていそうですが、いずれにせよその答えはご本人のみぞ知る所です。
あくまで短期トレード1本で資産を拡大するのがcis氏の投資手法。
シンプルな順張りで230億円まで資産を急拡大してきました。
しかしcis氏の手法を他の投資家が完全再現して同様に資産を増やすのは現実的ではありません。
cis氏の手法を完全に真似るのは不可
cis氏の手法は順張りトレードでシンプルだからこそ、細かな変化の見極めで相場の経験や分析力が大きな差を作ります。
例え数億円もの資産を株で築いた大物投資家の方々でも、cis氏の投資手法を真似して稼いでくださいと言われても「出来ません」と答えるでしょう。
それだけcis氏のトレードはシンプルながら難易度の高い手法だと言えます。
ご本人もTwitterで下記のように投稿。
引用元:Twitter@cissan_9984より
どれだけ凄腕の投資家に手法を教わっても、教わった手法を使って誰もが稼げるわけではありません。
投資ルールを順守できるのか?手法に則った咄嗟の判断を迅速に行えるのか?など、理由を挙げたらきりがありません。
cis氏の手法を完全に真似することは出来ませんが、投資に対する向き合い方を参考に成績を改善することは出来ます。
cis氏が株式投資家に向けたアドバイス
cis氏から、どんな投資家・トレーダーにも通ずる株式投資家へのアドバイスが2つ。
①相場のことは相場に聞く
②自分に合ったやり方を見つける
相場のことは相場に聞く
どこで株価が反転するかは誰にも分かりません。どの銘柄の株価が上昇・下落するのか予想することもあくまで自分の思い込みであり、ギャンブルです。
だからこそcis氏は相場のことは相場に聞くことを鉄則としています。
つまり、チャートよりも主に気配値と歩み値で値動きが強そうな(上昇力がある)銘柄をガンガン買うスタイル。
上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる。引用元:ダイヤモンドザイ「伝説の投資家・cisさんが語る「株で勝つために必要な“3つの鉄則”」とは? 」より
手法はシンプルで、既に株価上昇が見て取れる銘柄を見て「買い」。下がり始めたら「売る」。
チャートやニュースを見て自分勝手な思いこみで投資をするよりも目の前の株価や相場の動きを見る。
これがcis氏がたどり着いた株で勝つためのスタイルです。
ただしこの投資手法があなたにもマッチしているかというと別の話です。
自分に合ったやり方を見つける
世の中には株式投資の本や投資教育メディアが溢れています。
しかしそれらを読んでいたら勝てるようになるかと言うとそうではありません。
cis氏いわく「本を読んでいるだけでは相場に勝てない」「マーケットのことはマーケットでしか学べない」。引用元:ダイヤモンドザイ「伝説の投資家・cisさんが語る「株で勝つために必要な“3つの鉄則”」とは? 」より
これにはいろいろな意図が含まれています。
①投資で勝つには経験が大事
②ある人に適した手法が他の人にも適しているとは限らない
先にご紹介したcis氏の投稿からも同様の意図が読み取れます。
引用元:Twitter@cissan_9984より
仮に今大きな成果が出ていなくてもcis氏のように継続し、強制退場にならない資金で経験を積みながら自分に合った投資の勝ち筋を見つけていきましょう。
cis氏と並ぶ2大トレーダーのBNF氏からも投資で勝っていくためのエッセンスを学べます。
ちなみに、cis氏のように日経平均先物を売買するには通常少なくとも数百万円の資金が必要です。
ただ、海外の証券会社を利用すればレバレッジを駆使して1万円からでもトレードできます。
少額からでも株式指数に連動したトレードをしたい方は海外の証券会社を検討してみてください。
中には口座開設だけで1万円以上のボーナスをもらえて、自己資金を入金しなくてもトレード体験ができる業者も。
ボーナスで稼いだ利益はそのまま出金もできるため、ノーリスクでトレードの練習ができます。
CIS氏は2020年11月の急騰時に不二ラテックスの株を売却しましたが、それまで長く持っていたのは、値上がりを期待してとは別な意味があったようです。専業投資家になる前にCIS氏が勤務していた会社(叔父が経営)の主要な取引先がこの会社で、下請け業者を切らないようにの意味を込めて持っていたようです。彼が出した本に記述があります。
匿名さん 2023.07.04