たくり足(たくり線)とは下落トレンドが上昇トレンドに転換するサインとなるローソク足です。
ファンダメンタルズ分析で厳選した銘柄でも、どのタイミングで株を買うかは悩むところ…
中長期投資だとしてもできるだけ安値で買いたいですよね。
そこで安値で株を買うタイミングの目安となるのが、たくり足。
この記事ではチャート事例を使ってたくり足の特徴を解説するとともに、だましで失敗しないようにたくり足と合わせて使えるテクニカル分析手法をご紹介します。
下落トレンドから上昇トレンドへの転換点を読み、数か月・数年規模の株価上昇の勢いに乗った投資ができるようになりましょう。
目次
たくり足は上昇のサイン
たくり足(たくり線)は、長い下ヒゲをつけたローソク足のことです。
このローソク足の形をカラカサと呼ぶこともあります。
たくり足は下降トレンドの底値圏に現れ、反転・上昇のサインになります。
売りの勢いが弱まり、反対に買いの勢いが強まった時、たくり足は現れます。
たくり足が出現すると上昇へと転ずる可能性が高いのです。
実際のチャートで、たくり足の値動きを確認していきましょう。
たくり足出現後の上昇事例
たくり足出現後上昇に転じたZホールディングス(4689)のローソク足チャート事例です。
新型コロナウィルスの感染拡大を懸念して約2か月にわたり市場全体が下落トレンドにありました。
Zホールディングスも例にもれず下落のトレンド。
この流れが一転したのが3/23のたくり足出現以降でした。
3/23は日経平均株価も暴落から反発への転換点となった日。
相場全体の反発雰囲気に後押しされてZホールディングスでも売りが一転、買いの勢いが強まり、たくり足が出現したと考えられます。
たくり足出現の翌日には窓を開けて反転・上昇。
長期の上昇トレンドに移り、下落トレンド以前の高値を超えて大きく伸長を続けています。
たくり足以前の下落の力が強いほど、たくり足後の上昇の力も強くなります。
特に上昇力の強いたくり足パターン2つ
たくり足には、通常よりも力強く上昇するパターンが2つあります。
①窓を開けた下落後のたくり足
②陽線のたくり足
窓を開けた下落後のたくり足
窓を開けて株価下落(ギャップダウン)した後のたくり足は力強い上昇のサインです。
たくり足前の下落の力が強いほど、たくり足後の上昇への反動力が強まるからです。
特に窓開け後のたくり足は底値圏で現れることが多く、出現後は窓埋めの動きと相まって強く上昇します。
陽線のたくり足
たくり足は陽線で現れることもあります。陽線のたくり足はさらに強力な上昇サインとなります。
陽線のたくり足は、下落から一転、当日安値から勢いよく株価上昇して、始値よりも高い価格で当日の取引を終えたということ。
たくり足の時点で既に売りよりも買いの力が上回っており、翌日以降続く買いの勢いが見て取れます。
よって力強い上昇トレンドの始まりが予想されるのです。
ここまでたくり足の特徴やたくり足を株価上昇のサインとして使うことができる理由を解説しました。
次にたくり足の実践的な使い方を解説します。
たくり足の実践的な使い方
中長期的な投資を行う場合、たくり足は投資を検討している銘柄の買いポイントを決定する1要素として使います。
一般的に株式投資を行う際のステップは大きく分けて以下の3つ。
①銘柄選定
②売買タイミングの決定
③決済タイミングの決定
「①銘柄選定」は、主に会社の業績などのファンダメンタルズ分析によって判断します。
たくり足を含むローソク足チャートでのテクニカル分析が活きてくるのは「②売買タイミングの決定」以降。
つまり、たくり足はあらかじめファンダメンタルズ分析などで目を付けた銘柄の売買タイミングを計るサインとして使うことになります。
中長期目線で株を買うとしても、なるべく底値付近で買ったほうが利益は大きくなりますよね。
たくり足の信頼感を高める方法
たくり足単体よりもトレンド転換への信頼感を高める方法が2つ。
①長い時間足も見る
②オシレータ系のテクニカル指標も確認する
①長い時間足も見る
普段見ている日足チャートだけでなく、週足や月足などの上位足も確認します。
上位足は長期のトレンドの動きや底値圏の確認に有効です。
下の図はセンチュリー21・ジャパン(8898)の週足チャート事例。
このチャートでは、約2年もの間下落トレンドが続いていました。
この長期のトレンドが陽線のたくり足の出現によって転換。
上昇トレンドへと移行しています。
長期にわたって続いたトレンドが転換するとき、転換後のトレンドも長期にわたり続くと考えられます。
大きなトレンドの転換点を狙うには週足や月足チャートも確認しましょう。
②オシレータ系のテクニカル指標も確認する
たくり足単体で判断するよりもMACD(マックディー)やRSI(アール・エス・アイ)など、買われすぎ売られすぎを表すオシレータ系のインディケーターを活用することでサインの信頼度が増します。
- たくり足×RSI
- たくり足×MACD
RSIは0~100の数値で表され、一本の棒グラフでチャート上に表示されます。
RSIからわかるのは相場の過熱感。
30以下だと売られすぎを表すため買いのサイン、70以上だと買われすぎを表すため売りのサインと判断します。
※投資家により基準は様々。
Zホールディングス(4689)の例を見てみましょう。
たくり足出現当日、RSIは6.5を表示。
大幅に売られすぎているサインであり、そろそろ上昇に転ずるのでは?と考えられます。
MACDは2本の線のクロス(ゴールデンクロス、デッドクロス)を売買判断に活用します。
MACDはローソク足やRSIよりサイン出現のタイミングが少し遅いサイン。
その分他のサインをきっかけとした売買判断の信頼度を高めるために使うことができます。
Zホールディングス(4689)のチャートを例に見てみましょう。
MACDはたくり足の4日後にゴールデンクロス。
上昇を後押ししています。
たくり足と合わせてRSIやMACDなど根拠となるテクニカル指標を増やすほど、上昇トレンドに転ずる可能性は高くなります。
なるべくリスクを抑えて投資をしたい方は、少なくとも2つの売買根拠をもとに投資判断をしましょう。
最後に、たくり足が出ている銘柄を探す方法をご紹介します。
デイトレードや短期のスイングトレードを行っているトレーダーの方は次の方法で短期的に上がる銘柄を探すことができます。
【短期向け】たくり足が出ている銘柄の探し方
たくり足が出現した銘柄は「株価アルゴリズム」というサイトで確認できます。
日々のたくり足出現銘柄がリストアップされており、過去のデータも閲覧可能。
たくり足出現前のチャートも合わせて確認できるため、上昇力の強い窓開け後のたくり足や陽線のたくり足も一目でチェックでき、便利なサイトです。
下落トレンド後のたくり足なのか、底値圏でのたくり足なのかなど条件を絞って検索することはできません。
狙うとしても短期的な上昇幅程度になります。
【注意】高値圏の下ヒゲ陽線は「首吊り線」
たくり足に似たローソク足のチャートパターンに「首吊り線」があります。
首吊り線は高値圏に現れ、上昇トレンドから一転、下落トレンド開始のサイン。
ポイントは長い下ヒゲをつけた陽線となることです。
陽線のため上昇を続けるようにも見えます。
しかし投資家たちが天井を意識したことによって下ヒゲがついたことを考えると、買いのパワーが弱まっていると考えられます。
たくり足と混同して買いで入らないよう注意しましょう。
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