テイクプロフィット注文をあらかじめ設定しておくと、いくらまで値動きして何pipsの含み益が出たら自動的に利確するか予約しておくことができます。
テイクプロフィットとは主にFXにおいて含み益が出ている状態で決済して利益を確定させることです。反対に含み損を確定する注文のことをストップロスと言います。
取引ツールによってはTP(Take Profit)やT/Pとも表記されるテイクプロフィット。その効果的な活用方法を検証していきます。
目次
テイクプロフィットの意味とは
テイクプロフィットは日本語で利食いや利益確定のことです。
あらかじめ決めた価格にテイクプロフィット注文を置いておくことで、その後注文価格に達したら自動で利確してくれます。
チャートを開いていなくても決済できるため、さまざまな局面で活用できる注文方法です。
テイクプロフィットの活用シーン
具体的なテイクプロフィットの活用シーンをいくつかご紹介します。
- チャートが見られない間の機会損失を防ぐ
- 感情に流されずに予定通りの価格で利確する
- 急激な価格変動でも遅れずに利確する
それぞれ詳しく解説します。
チャートが見られない間の機会損失を防ぐ
当然ながら平日中であれば取引ソフトを開いていない間も為替の値動きは続いています。
ポジションを持ったままチャートを見ずに放置していて、後でチャートを確認した時に「あの時決済していたら今よりも何倍もの利益が稼げていたのに!」と後悔する経験は誰もが通る道です。
ただポジションを持っている間ずっとチャートを見ているというのはスキャルピングトレードでもない限り難しい話です。
スイングトレードなど数日以上に渡りポジションを保有したい方ならなおさらですよね。
そこで、チャートを見ていない間でも狙った価格に達していたら自動で利益確定してくれるテイクプロフィットをあらかじめ置いておくことで機会損失を防ぐことができます。
仕事の就業前に新規注文を出してからテイクプロフィットを置いておいて、終業後に確認したら利益が稼げているというような日課を作っている方もいます。
感情に流されずに予定通りの価格で利確する
テイクプロフィットにはチャートを見ている間でも有効な使い方があります。
それは手動決済を自ら禁じてあらかじめ狙った価格で自動利確されるまで待つという使い方です。
トレードでうまく利益を増やせない原因の1つに「早すぎる利確」があります。
早すぎる利確とはもともと狙っていた利確ラインに到達する前に、値動きが反転して今ある含み益を失うのではないかと不安になり、予定よりも早く小幅利益で決済してしまうことを指します。
これにより本来獲得できたはずの利益よりも少なくなり、なかなかお金が増えません。
そこでテイクプロフィットの予約注文をして手動の決済はしないことを決めておけば、早すぎる利確を避けることができます。
チャートの細かい値動きで感情が揺さぶられて疲れる、という方はあえてチャートを閉じて利確を待つという手もあります。
急激な価格変動でも遅れずに利確する
テイクプロフィットは値動きの激しいハイボラティリティ銘柄でも利益を最大化する決済が可能です。
というのも、ハイボラ銘柄はトレンドラインにタッチした瞬間に値動きが反転しやすい特徴があります。
出典:TradingView「GBPJPY」
目視でトレンドラインにタッチしてから手動決済すると、トレンドラインから反転した価格で利確することになり本来狙っていた値幅より狭くなります。
利益を最大化するにはトレンドライン上(より少し手前)にテイクプロフィットを置いておき、タッチした瞬間に利確できる状態を作っておくことです。
ただしトレンドラインにタッチする価格上に注文を置いておくと、ラインにタッチする前に反転する場合に利確の機会を逃す可能性もあるため、ラインの少し手前に注文を出すのがポイントです。
ストップロスとの違い
FXトレードでは必ずしも利益確定ができるとは限りません。
エントリーから予想に反して値動きする可能性もあり、その場合の損失を最小限に抑えられる人が最終的に勝てるトレーダーです。
そこで活躍するのが「ストップロス」。「テイクプロフィット」の反対の役割を持つ注文です。
FXでうまく勝てないトレーダーの特徴として「早すぎる利確」をご紹介しましたが、その反対に「遅すぎる損切り」があります。
利確が早すぎて利益が少なくなりがちな上に損切りは遅くなって1度の損失が大きくなる、いわゆる「コツコツドカン」の状態を表しています。
感情に流されずにコツコツドカンを脱するにはテイクプロフィットと共にストップロス注文を置いておき、あらかじめ決めた価格で利確・損切りを行いましょう。
特にチャートから目を離している間に急な相場変動で資金を失わないためにも、万が一を想定したストップロスが有効です。
テイクプロフィットの計算方法
テイクプロフィットで注文設定する際に、いくらに注文を置けば何pipsの利益が取れるのか?
その計算を簡単に行う方法を解説します。
合わせてpipsあたりの損益計算もできるようになりましょう。
まず1pipsがいくらを表すのかはクロス円通貨ペアかドルストレート通貨ペアかによって異なります。
クロス円とはドル円(USDJPY)やポンド円(GBPJPY)のように、円(JPY)が絡む通貨ペアのこと。
ドルストレートとはポンドドル(GBPUSD)やユーロドル(EURUSD)のように米ドル(USD)が絡む通貨ペアのことです。
以下ではそれぞれの通貨ペアでpipsを計算した具体例や例題もご用意しているので、よければ普段トレードしている通貨ペアの欄を活用ください。
また、通貨ペアとは少し異なりますが、ハイボラ銘柄としてFXトレーダーから人気の高いゴールドのpips計算方法もご紹介します。
クロス円の場合1pips=0.01円
例1)1米ドル110.500円が110.550円になると5pipsの上昇
※小数点から右に2番目の数字が1pips単位と覚えると覚えやすい
例2)1米ドル110.500円が110.630円になると13pipsの上昇
例題)では1米ドル110.500円でロングした場合、120pipsの値幅で利確するにはいくらにテイクプロフィット注文を出す……?
回答)111.700円
※例題をタップorクリックで回答表示
ドルストレートの場合1pips=0.0001ドル
例1)1ユーロ1.12330ドルが1.12300ドルになると3pipsの下落
※チャートに表示されている数字の右端から2番目の数字が1pips単位と覚えると覚えやすい
例2)1ユーロ1.12330ドルが1.12000ドルになると33pipsの下落
例題)1ユーロ1.12330ドルでショートした場合、103pipsの利幅で値幅で利確するにはいくらにテイクプロフィット注文を出す……?
回答)1.11300ドル
※例題をタップorクリックで回答表示
ゴールドの場合1pips=0.1ドル
例)1トロイオンス1770.500ドルが1770.800ドルになると3pipsの上昇
※小数点の右側の数字が1pips単位
※トロイオンス:ゴールドの単位
例題)1トロイオンス1770.500ドルでロングした場合、131pipsの値幅で利確するにはいくらにテイクプロフィット注文を出す……?
回答)1783.600ドル
※例題をタップorクリックで回答表示
MT4, MT5のテイクプロフィットの設定方法
MT4でもMT5でも基本的なテイクプロフィットの設定方法は同じですが、MT5にはさらにチャート上で直感的にテイクプロフィットラインを置くことができます。
ここではスマホアプリでテイクプロフィット注文を設定する方法を実際の取引画面を使って解説します。
既存のポジションの場合
既存ポジションでのテイクプロフィットの設定方法はMT4のスマホアプリを使って設定方法を解説します。
MT4でもMT5でも同じ手順で設定できます。
アプリの画面下部に5つあるアイコンのうち、中央の「トレード」をタップします。
ここに保有中のポジションが表示されるため、テイクプロフィットを設定したいポジションを左にスワイプします。
すると下の画像のように4つのアイコンが表示されるため、左から2番目の鉛筆マークをタップします。
※この際に誤って1番左のチェックマークをタップすると即ポジションが決済されてしまうため注意しましょう。
また、保有中のポジションを長押しして表示される「注文変更」ボタンでもテイクプロフィットの設定画面に移動できます。
その後注文変更画面で「テイクプロフィット」の欄に利確を予約したい価格を入力します。
以上で設定が完了です。
新規注文の場合
新規で注文を出す際にあらかじめテイクプロフィット注文を出すこともできます。
こちらはMT4にはないMT5独自の簡単設定方法をご紹介します。
アプリを開いて画面下部に5つ並んだアイコンのうち、左から2番目の「チャート」をタップします。
開いたチャート画面の右上にある赤と青のアイコンのうち、左側の時計マークをタップしてください。
すると「BUY LIMIT」と書かれた青いラインが表示されます。
このラインを上下にスワイプすると、ラインの位置を変えられます。
現在価格よりも下に置けばその価格まで下落した時に自動で買い、現在価格よりも上に置けばその価格まで上昇した時に自動で売り注文を出してくれます。
新規注文ラインを決めたら、次に画面下部に表示されている「TP」アイコンをタップします。
TPとはテイクプロフィットの略で、表示された緑のラインを上下に動かしてテイクプロフィットの価格を決定します。
同様に画面下部の「SL」アイコンをタップするとストップロスも設定できます。
チャートを見ながら注文設定できるため、価格の計算が不要で視覚的にラインを設定できて便利です。
MT5ユーザーの方は是非使ってみてください。
設定できる価格は業者により異なる
FX業者によってテイクプロフィットやストップレベルが設定できる最小の値幅が違います。
この値幅のことをストップレベルと呼びます。
例えば最大100万円のボーナスが人気の海外FX業者GEMFOREXは、ドル円のストップレベルを2pipsに設定しています。
これはテイクプロフィットやストップレベルを設定しようとしている現在の価格から2pips以上値幅がないと注文できないことを意味しています。
細かい値幅で売買を行うスキャルピングトレーダーには影響の大きい数値です。
中にはストップレベルがゼロの業者もあるのでスキャルピングをしたい方はスキャルピング向きの業者から選ぶことをおすすめします。
テイクプロフィットで利益を稼ぐコツ
次にテイクプロフィットをうまく使って利益を稼ぐコツを2つご紹介します。
- 損小利大にこだわる
- 利確されるまでチャートを見ない
1つ目はトレードテクニックの面、2つ目はメンタル面で重要なポイントです。
損小利大にこだわる
FXで利益を増やしていくには損失をできるだけ小さくして、利益をできるだけ大きくすることが基本です。
そのためには今エントリー(新規注文)したらどれぐらいの利益が期待できるのか、反対にどれぐらいの損失の可能性があるのかをあらかじめ想定しておく必要があります。
例えば、いまドル円をロングして5pips下がってしまったら損切り、20pips上がったら利確しようという具合です。
想定される損切り幅をなるべく小さくして、利確幅を広げられると複数回のトレードのトータルで見ると利益が段々と積み重なっていきます。
損小利大のためにはなるべくトレンドラインの近くでエントリーすることと大きなトレンドを狙うことが重要です。
出典:TradingView米ドル/円チャート
トレンドラインの近くでエントリーすれば仮に予想と逆に価格が動いたらすぐに損切りの判断ができます。
トレンドラインをブレイクしたらその方向に強く値動きすると予想できるため、早めの損切りしたほうが損失を抑えることができるからです。
また、大きなトレンドのトレンドライン付近でエントリーできれば利益の幅を大きくできます。
ただ、大きなトレンドではトレンドラインからトレンドラインに価格が推移するまでに数日~数週間かかることもあります。
この間常にチャートを見ておくことはできません。
そこでテイクプロフィットやストップロスを活用してあらかじめ決めた価格で利確・損切りを行いましょう。
利確されるまでチャートを見ない
FXトレードで利益を稼ぐにはメンタルコントロールも重要な側面です。
感情的にトレードするとそれまで勝てていたものが全く勝てなくなるという声も多く、トレーダーの永遠の課題と言えます。
そんなトレードの敵である感情の影響を抑えるのにテイクプロフィットは役立ちます。
特にある程度利益が出ているものの、まだあらかじめ決めた利確ラインには到達していないという時。
このタイミングでチャートを見てしまうと高い確率で「もうここで利確しておいた方が良いんじゃないか?」という感情が生まれ、そこで手動決済してしまう人は多いです。
既に得ているものを失うのが怖いというのが人間心理だからです。
対策としてあらかじめテイクプロフィット注文を設定しておき、テイクプロフィットが完了するまでチャートを見ないのが有効です。
ストップロスを合わせて設定しておけば知らぬ間にとんでもない損失をかけている心配もありません。
自動決済注文であるテイクプロフィットとストップロスを活用して、邪魔な感情を排して損小利大のトレードで利益を積み重ねましょう。
※利用規約を厳守の上、ご投稿ください。