SOR指定は「なるべく安く買える」「なるべく高く売れる」取引所を自動で選択・注文してくれる株の注文システムです。
つまり、SOR指定で注文すれば通常よりお得な株取引ができます。
SORはどう使うのかわからない、使い方が難しそう。
そんな方もこれを読んで便利なSOR注文を使えるようになりましょう。
目次
SOR指定とは
SOR指定とは、買いたい銘柄を最安値で買える市場、売りたい銘柄を最高値で売れる市場をシステムが瞬時に判定し、その市場に注文を出してくれる機能です。
Smart Order Routing(スマートオーダールーティング)の頭文字を取りSORと呼ばれます。
例えるなら、さまざまな商品について各ショップや店舗での販売価格を比較表示しているサイト「価格.com」のような働きをします。
買い注文なら最安値で買える店を瞬時に判別し、そこに注文を通す。売り注文なら最高値で売れる店に注文を通します。
株式取引も、売買する場所(市場)が違うと売買価格も違います。
下記の図は、任天堂(7974)の東証(左)とPTS(右)で同時刻に売買されていた株価です。
取引市場の違いで、60円も株価が違います。
「SOR指定」は2019年頃より導入された注文システムで、それ以前は投資家自身が最安値で買える市場、最高値で売れる市場を見極めて注文を出していました。
しかし、各取引所での株価と板の情報を確認して何円に何株の売買注文が出ているかを目視で確認するのは大変かつタイムロスが生まれる作業。
これには長年の練習が必要ですし、のらりくらりと人の目で確認していたら最良の価格で約定させるチャンスを他の投資家に奪われてしまいます。
SORが導入されたことでシステムが瞬時に有利な市場を見極めてくれるため、投資家自身が各市場の株価を見て回る必要がなくなりました。
なるべく安く買って高く売りたい投資家にとって便利なSOR。
更なるメリットとともにデメリットについても解説していきます。
SOR指定のメリット
SOR指定で株を注文すると瞬時に市場を選んでくれる他に下記3つのメリットがあります。
- 注文が約定しやすい
- 手数料が安くなる可能性がある
- 日中でもPTS取引の手数料が無料に
注文が約定しやすい
SOR指定で株の売買注文を出すと
- 参照する市場の数
- 注文の速さ
- 取引価格の単位の違い
から注文が約定しやすくなります。
SOR指定で買い注文を出すと、東証とPTS両方の市場の売り注文を瞬時に参照。
複数市場の売り注文を参照することや、素早い市場判定のおかげで素早く適切な注文を出すことができ、取引成立する可能性が高いのです。
PTS市場での取引単位の違いも約定のしやすさに影響しています。
PTSでは小数点第一位まで価格の指定が可能。
例えば、下の図のような板があったとします。
SORで700円の指値買い注文を500株出すと、700円以下で約定する売り注文を安い順に探します。
まずPTSで699.5円200株、699.7円200株が約定。
その後優先市場である東証で700円100株が約定します。
もし東証指定で同様の注文を出していたら700円で200株しか即時約定しなかったことになります。
PTSの取引単位の違いを活かせるSOR指定の方が約定しやすいのです。
手数料が安くなる可能性がある
SOR指定で注文を出すと東証指定よりも手数料が安くなる可能性があります。
東証よりもPTSの約定手数料の方が安く設定されている証券会社が多いからです。
例えば、SBI証券のスタンダードプランの場合、下図の表のように約定手数料が設定されています。
SOR指定で注文した結果、PTSで約定すれば通常よりも安い手数料で取引できます。
日中でもPTS取引の手数料無料
SORを使うと、日中のPTS取引にかかる手数料が無料になります。
SBI証券のアクティブプランは、1日の約定代金合計が50万円以下なら手数料無料と言う点で個人投資家から大人気。
しかし、PTSを指定した取引はアクティブプランの対象外となり、日中は別途手数料が発生します。
一方、日中にSORを指定した結果PTSで約定した場合にはアクティブプランの対象となり、PTSでも手数料無料で取引することができます。
- 注文が約定しやすい
- 手数料が安くなる可能性がある
- 日中でもPTS取引の手数料が無料に
SOR指定のメリットがわかったら、使用する際の注意点をおさえておきましょう。
SOR指定のデメリット
SOR指定での注文で唯一のデメリットと言われているのが、HFT業者による先回りです。
HFT業者とは専用のシステムを使って0.001秒単位の超高速取引を大量の資金で繰り返し、細かな利ザヤを積み重ねる業者のこと。
例えるなら、転売ヤーでしょうか。
ゲームを買いたいというニーズをかぎつけると、一番安く買える店からゲームを買い占め。
他の店よりは安く、ただし購入金額に利益を乗せた価格で即時転売します。
こうして購入者は最安で購入できたかに見えつつ、実は本来買えたはずの価格よりも高く買うはめになっているのです。
※こうしたHFT業者による先回りが「SBI証券のSOR問題」として取り上げられました。
SOR対象銘柄の特徴
SOR対象銘柄の特徴は「東証に上場していること」です。
東証一部、二部、マザーズ、ジャスダックが当てはまります。
一方、地方証券取引所のみに上場している企業はSOR対象銘柄ではありません。
念のため、SBI証券の取引アプリを例に「SOR対象銘柄」の確認手順を解説します。
個別銘柄のページを開いたら取引ページに進み、左上にSORの文字があればSOR対象銘柄です。
SOR指定と東証指定の比較
SOR指定と東証指定ではどちらを使うとよりお得な株取引が出来るのかを理解するために、それぞれの特徴を比較します。
比較ポイントは以下の3つ。
①約定価格の安さ
②手数料の安さ
③約定のしやすさ
SOR指定で注文したほうがあらゆる面でお得です。
約定価格の安さ
SORは投資家にとって有利な株価で約定する市場を瞬時に選んでくれるため、SORの方が有利です。
買い注文の時は最安値で買える市場を、売り注文の時は最高値で売れる市場を自動判定します。
一方東証指定で注文を出したら、当然ながら東証で取引される株価で約定することに。
その時PTSの株価が安かろうと高かろうと考慮されません。
手数料の安さ
SOR指定することで東証指定よりも手数料が安くなります。
しかしよく間違えられがちなのがSBI証券のアクティブプランを利用している際のSOR手数料。
SOR指定で注文を出した結果PTSで約定すると、PTS用の手数料が発生すると勘違いされがちです。
「SOR対象銘柄のご注文について、SOR判定が行われた結果、PTS(J-MarketまたはX-Market)での約定となった場合、「約定代金合計額」にPTS取引での約定代金が加算されて、アクティブプランの手数料が計算されます。」引用元:SBI証券「SOR注文について」より
この注意書きの意味は、「SOR指定で注文を出した結果PTSで約定したらその約定金額を1日の約定代金合計に足して手数料計算します」ということ。
つまりSOR指定であれ、東証での取引と同様に1日50万円の約定代金合計を超えなければ手数料は発生しません。
また、1回の約定ごとに手数料を支払うプランの場合は多くの証券会社で東証での取引にかかる手数料よりも安く設定されています。
よって約定手数料はSOR指定の方が有利だと言えます。
約定のしやすさ
SOR指定のメリットでも解説した通り、SORのほうが東証指定よりも約定がしやすくなります。
SORならば、東証で売買される株数に加えてPTSで売買される株数の分だけ約定機会が増えることと、約定までのスピードが原因です。
SORの設定方法
少しでもいい条件で株を売買したい投資家にとって使わない手はないSOR。
その設定方法を注文画面に沿って解説していきます。
反対にSORではなく、東証やPTSを指定して注文する方法や初期設定を東証に変更する方法も合わせてご紹介します。
SORを指定して注文する場合
SOR指定で注文をする場合は、上図の左上にある「SOR」が青い状態のまま取引を出します。
初期設定でSOR指定になっているため、特別な操作は不要です。
SORを外して注文したい場合
SOR指定を外して注文をしたい場合は設定が必要です。
東証指定をしたい場合は、SORの右横「東証」をタップして青くします。
PTSを指定して注文したい場合は「東証」のさらに右横「PTS」を選択します。
初期設定を東証に変更したい場合
SBIのホームページにデフォルトでSOR指定になっている初期設定を変更する手順が記載されています。
スマホサイトやアプリからは設定変更できず、PCサイトからのみ変更可能。
※スマホからPCサイトを開いて設定変更は可能です。
初期設定がSOR指定での注文になっている証券会社が多く、東証やPTSを自分で選んで注文を出したいという方は都度SORの設定を外すのは面倒ですよね。
上記の設定方法で最初から東証指定にしておくことが可能です。
※利用規約を厳守の上、ご投稿ください。