簡単に見つけられる上、高い確率で成立することから人気のチャートパターン「窓開け」と「窓埋め」。
窓開けした銘柄を見つけて窓埋め理論に沿ってトレードするだけで利益を稼ぐことも難しくありません。
しかし「本当に空いた窓は埋まるのか?」「どれぐらいの確率で窓埋めするのか?」窓埋めトレードに不安を感じる方もいるでしょう。
この記事では窓埋めが成立する確率の検証や窓埋めを使ったトレード手法、窓開けした銘柄を簡単に一覧表示する方法など…
チャート上に現れる「窓」について1からすべて解説します。
目次
窓とはチャートの空白部分
株やFXのチャートにおける「窓」とは、ローソク足とローソク足の間の、ぽっかり空いた空間を指します。
前日終値と当日始値の間に価格差があることでチャート上に出現します。
窓のことを「ギャップ」と呼ぶこともあります。
引用元:Yahoo!ファイナンスより
“窓開け”と”窓埋め”
「窓開け」とは、上図のようにチャート上に窓ができること。
チャート上で上方向に窓が開いても下方向に窓が開いても「窓開け」と呼びます。
一方「窓埋め」は開いた窓を埋めるように値動きし、窓開け前の価格まで値を戻すことを言います。
引用元:SmartChart日産自動車(7201)より
「窓閉め」ではないため誤って覚えないようにしましょう。
窓埋めが起こる確率を検証
「窓埋め理論」として提唱され、「埋めない窓はない」とまで言われる窓開けと窓埋め。
本当に現在のチャートでも開いた窓は埋まるのか?
今回は2021年6月1日~8月16日の間に窓開け(ギャップアップ)した50銘柄のその後の値動きを調査。
窓埋めの確率を検証しました。
・参照サイト
株ドラゴン「窓開け 上昇 銘柄」
・抽出対象50銘柄
各月、以下の4営業日のうち窓開け上昇率上位5銘柄ずつ
1. 1日に窓開けした銘柄
2. 最終取引日に窓開けした銘柄
※月初、月末に起こりやすい値動きである「月替わり効果」の影響を緩和するため
3. 15日付近の月曜日に窓開けした銘柄
4. 15日付近の金曜日に窓開けした銘柄
※週初め、週末に起こりやすい値動きである「曜日効果」の影響を緩和するため
※今回は上昇方向に窓開けした銘柄の窓埋め確率を検証しています。下落方向の窓開けから窓埋めの確率は改めて検証します。
- 窓埋めせずに上昇継続:38%
- 1か月以内に窓埋め:30%
- 1か月以上かけて窓埋め:20%
- 上昇したまま窓埋めせずにヨコヨコ:8%
- 上場廃止:4%
大まかに窓埋めするか否かで見ると、窓埋め確率50%、窓埋めしない確率48%でほぼ半々です。
窓埋めする場合は1か月以内に窓埋めする確率が高く、1か月以内に窓埋めしない場合はその後窓埋めしづらい傾向が見て取れます。
もう少し掘り下げてみましょう。
窓開けした銘柄は窓開け前の直近高値ラインを支持線として反発する傾向にあることが分かりました。
引用元:SmartChartPLUS「ビュティガレージ(3180)」より
窓埋めせずに推移している銘柄のうち50%以上が一度直近高値ラインまで調整してから、再度反発しています。
直近高値を支持線とする価格帯にタッチすると、少なくとも翌日は高い確率で反発する傾向にあります。
また、窓埋めした後の反発確率も高く、窓埋めの動きを利用してスイングトレードで利益を稼ぐこともできます。
窓埋め理論を使って利益を稼ぐ方法
窓埋め理論を使ったトレードには2つの手法があります。
一般に広く知られているのは窓埋めの動きに合わせて利益を狙う方法。
そしてもう1つが窓埋め完了後のトレンド転換を狙う方法です。
それぞれ解説します。
窓埋めの動きに合わせたトレード
まずは窓埋め方向の値動きに合わせてエントリーするオーソドックスな手法です。
引用元:SmartChart日産自動車(7201)より
下落方向に窓開けした銘柄で長い下ヒゲが出たときに買い、窓埋めが完了したら利確します。
買った翌日にまだ下落しそうな動きがあればすぐに損切りして次のチャンスを待ちましょう。
損小利大は伝説の投資家ジェイコム男ことBNF(小手川隆)氏も徹底していたことです。
下落方向に窓開けした銘柄は窓が大きい順に株ドラゴンの「窓開け 下落 銘柄」のランキングで確認できます。
窓埋め後の反発・反落を狙ったトレード
次に窓埋め後の反転を狙ってトレードする手法です。
文字で説明するよりもチャートで見ていただく方が早いでしょう。
引用元:SmartChartJR東日本(9020)より
窓埋めに成功した後、窓埋めラインを支持線として小幅反発しています。
窓埋めが成立する価格に指値を入れておき、値動きを見て決済しましょう。
そのまま上昇継続する場合もあれば、今回の事例のように小幅の反発で終わることもあります。
ローソク足を見て上髭が伸びるようであれば細かく利確しましょう。
買いで入る場合、上昇方向の窓開けから窓埋めしそうな銘柄を探します。
まずは株ドラゴンの「窓開け 上昇 銘柄」から窓開け銘柄を探しましょう。
窓開け銘柄の簡単な探し方
窓開け銘柄を見つければその後の値動きで短期利益を狙えます。
指定した日付に窓開けした銘柄を表示するには株ドラゴンの「窓開け 下落 銘柄」や「窓開け 上昇 銘柄」のランキングをチェック。
ランキング上位の銘柄ほど大きな窓を形成しています。
窓が大きいほど窓埋めした時に得られる利益も大きくなるものの、窓埋めにかかる時間が長くなる傾向があります。
どれぐらいの窓を狙ってトレードするのか、様々なパターンを試してみてください。
ただしランキング上位の銘柄の中には上場廃止予定が決定しており、今後窓埋めの可能性が極めて低い銘柄もあります。
テクニカルだけで判断せずに窓開けした原因も合わせて確認しましょう。
窓開けが起こる理由
窓は上昇方向にも下落方向にも開きます。
上昇方向の窓開けをギャップアップ、下落方向の窓開けをギャップダウンと呼びます。
それぞれが起こる理由を解説します。
好材料が出るとギャップアップ
ギャップアップは窓を開けて株価が急騰することを指します。
ギャップアップは会社のポジティブな材料があった時に起こります。
ここで、スパークスグループ(8739)のギャップアップ事例を見てみましょう。
引用元:スマートチャートプラスより
2019年3月15日、スパークスグループの株価は窓を開けて急騰し、ギャップアップしています。
前日3月14日の取引終了後に、「東証一部への上場市場変更承認に関するお知らせ」を発表し、これが買い材料となったことが要因です。
これはギャップアップの材料例の1つ「東証一部への鞍替え」に当たります。
この他にも
- 業績の上方修正の発表
- 大企業などとの資本提携発表
- 月次売上が予想以上
- 画期的な新技術の開発に成功
- 新発売商品の大ヒット
- TOBを仕掛けられる
- 悪材料の出尽くし
etc…
がギャップアップの材料になります。
悪材料が出るとギャップダウン
ギャップダウンは窓を開けて株価が急落することです。
ギャップダウンは主に悪材料が要因で起こります。
例としてサンバイオ(4592)のローソク足チャートを見てみましょう。
引用元:スマートチャートプラスより
4日連続のストップ安を含む5つのギャップダウンを形成しています。
原因は2018年1月29日に公表された「アメリカでの新薬開発に関わる治験が成功しなかった」というリリースです。
長期にわたって赤字だったものの新薬の開発によって黒字化すると期待されていただけに失望売りが殺到。
約8分の1まで株価が暴落しました。
サンバイオの事例は、バイオ株に多い「治験がうまくいかなかった」という悪材料がギャップダウンの要因となります。
この他にも
- 業績の下方修正の発表
- 減配・株主優待の改悪
- 好材料の出尽くし
- 特損を計上
- 月次売上の悪化
- 不祥事の発覚
- 来季の通期予想の悪化
etc…
などが原因でギャップダウンします。
このように窓は様々な材料が起因して上方にも下方にも開く可能性があるのです。
窓開けした後、その勢いのまま上昇・下落を続けるなら、モメンタム投資が効果的です。
窓埋めされる主な理由3つ
窓開け後に窓埋めされる理由は主に3つあります。
- チャートパターンが意識されたから
- 反対材料が出たから
- 空売りが買い戻されたから
実際のチャート事例をもとにそれぞれを解説します。
チャートパターンが意識されたから
引用元:Yahoo!JAPANファイナンス「パナソニック」より
2月3日の決算発表が好材料と見られ大きくギャップアップしたパナソニック(6752)の株価チャートです。
その後テスラとの太陽電池共同開発の中止が発表され、今度は株価急落。
様々な窓埋めの理由が考えられますが、1つの解釈として窓開け前に形成されていた上昇トレンドのトレンドラインを割ったことが挙げられます。
サポートライン(支持線)をブレイクしたあと続落していますよね。
また、この相場ではエリオット波動と呼ばれるチャートパターンも見受けられます。
このようにチャートパターンが理由で窓埋めするケースは多々あります。
一度チャートパターンによって値動きした銘柄では、その直後の相場でもチャートパターンが強く意識される傾向に。
チャートパターンをいかに見つけられるかが将来的な株価の動きを予測するポイントになります。
反対材料が出たから
引用元:株マップ.comクォンツチャート「スリーエフ」より
2017年4月12日、スリーエフ(7544)はローソンとの事業提携を発表し、大きく窓開けして株価が上昇しました。
しかし翌日の利益確定売りや空売り、業績予想発表を受けた失望売りが殺到。すぐに窓埋めする結果になりました。
材料で窓埋めする場合は、窓埋め材料の強さなどによってその後の値動きが変わってきます。
材料が会社の業績に与える影響が強ければ強いほど値動きも激しくなるため、材料の内容は分析が必要です。
空売りが買い戻されたから
引用元:株マップ.comクォンツチャート「カナレ電気」より
カナレ電気(5819)では、信用売り残高が急激に増加したあとに大量の買い戻しが起き、そのタイミングごとに相場が転換しています。
大量に買い戻しが起こることで買い勢力が強くなり、株価が上昇していく動きをします。これを踏み上げ相場と呼びます。
カナレ電気の例ではこの踏み上げ相場でいくつかの窓が埋められているのがわかります。
ただし、踏み上げ相場は長く続くものではなく、買い勢力が弱まればレンジ相場になるか売り勢力が強まって下落トレンドに転換することもあるため注意が必要です。
窓埋めのパターン3つとチャート事例
窓埋めにかかる期間はケースごとにまちまち。
窓開けの要因となった材料の強さや地合いの良さも影響します。
過去に窓開けした銘柄がどんな状況で何日後に窓埋めを達成したのか、3パターンの事例をご覧ください。
- 窓開け翌日に窓埋めするパターン
- 窓開けから数日後に窓埋めするパターン
- 窓埋めせずに上昇・下落が継続するパターン
窓開け翌日に窓埋めするパターン
引用元:Yahoo!JAPANファイナンス「アンジェス」より
アンジェスはコロナウイルスの予防用DNAワクチンの共同開発が期待を生み、2日連続のストップ高で窓開けを見せましたが、週を開けた3/9には一転、急落して一時ストップ安の窓埋めという結果になりました。
3/6の株価が上値抵抗線に触れており、2/19のギャップダウン以前からのアンジェス株ホルダーによる売り注文が殺到したと予想されます。
窓開けから数日後に窓埋めするパターン
引用元:Yahoo!JAPANファイナンス「環境管理センター」より
1週間後に窓埋めした環境管理センターの事例では、前月期の業績修正が発表されたことが窓開けの要因となっています。
特に営業利益は従来予想の1億円から1億7000万円に修正され、これを材料視した買い注文が殺到しました。
しかし翌日から値下げ相場が続き約1週間後には窓埋めが完了。
これは7/29の窓開けの株価が以前できた山の頂上に達しており、ここを天井と見た投資家の利益確定の売りや空売りが増えたことが原因と考えられます。
業績の大幅上方修正という好材料での窓開けでも1週間後には窓埋めされることを考えると、やはり「埋めない窓はない」のではないかと感じますが、1か月以上経過しても埋めないケースもあります。
窓埋めせずに上昇・下落が継続するパターン
引用元:Yahoo!JAPANファイナンス「サンバイオ」より
ギャップダウン事例でもご紹介したサンバイオ株は、2019年1月の治験がうまくいかなかったことから、さらに同年12月13日に同薬の共同開発のライセンス契約を結んでいた大日本住友製薬との契約の解消と開発の中止を発表しました。
これにより、週明けの12月16日から2日連続でストップ安比例配分となり大きく窓を開けました。
その後も緩やかな下落トレンドが続き、すぐには窓を埋める気配はありません。
窓埋めトレードで高確率の利益を狙おう
窓開け後に高い確率で起きる「窓埋め」。
窓埋めを活用すればその後の値動きを利用して短期利益を狙えます。
窓開けの要因となった材料を確認の上、その後値動きが反転しそうであれば窓埋めトレードを実践してみてください。
テクニカル分析の練習を手っ取り早くするならFXもおすすめです。
日中に株の値動きを見ていられない方はどうしても日足でチャートを見ることが多くなり、チャートパターンの形成やだましの判断までに数週間~数か月かかることも。
なかなか勉強したテクニカル分析を発揮する機会がやってこないため、上達までに時間がかかります。
一方、為替市場は平日であれば24時間価格が動いているため、好きな時間にテクニカル分析の練習ができます。
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