グランビルの法則とは移動平均線の方向やローソク足との位置関係によって買いと売りのタイミングを計るテクニカル分析手法です。
世界中で多くの投資家やトレーダーに意識されている売買サインのため、グランビルの法則に沿って売買すれば大多数の目線と一致したトレードができ、市場の方向性に逆らわずに利益を狙えます。
グランビルの法則を実際のトレードで活かせるように買いと売りでそれぞれ4つずつ、計8つのパターンを押さえていきましょう。
目次
グランビルの法則とは
グランビルの法則とは、移動平均線の方向とローソク足の位置関係から導き出される8つのトレードルールです。
米国の株式アナリストであるジョセフ・E・グランビル氏によって考案されました。実は移動平均線を使った手法のほとんどにグランビルの法則が利用されています。
グランビルの法則は、発表から50年以上たった今でも有効なトレード手法として、多くの投資家が学び、活用しています。
このグランビルの法則を理解することで適切な売買タイミングがわかるようになるだけでなく、市場の大多数のトレーダーが上昇と下落どちらに向かっているのかさえイメージできるようになります。
値動きは市場参加者の多数決で決まると言われ、より力の強い方に加わることでトレードの勝率を上げることができます。
グランビルの法則:買いサイン4パターン
グランビルの法則では、移動平均線の動きから取引のタイミングを計ります。
ここでは、グランビルの買いの法則について解説していきます。
買いの法則は全部で4つあります。
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
1番:新規買い
<移動平均線>
下落 → 横ばい~上向きに転じた時
<価格>
移動平均線を下から上に突き抜けた時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線の傾きが下向きだったところから、水平になるタイミングに注目します。下降トレンドから上昇トレンドに転換するタイミングです。下降トレンドが長期間続いた後のこのタイミングは底値圏での買いポイントとなります。
2番:押し目買い
<移動平均線>
上向きの時
<価格>
一時的にローソク足が移動平均線を下回った時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線の上昇で上昇トレンドと判断し、上昇トレンド中の一時的な移動平均線の下抜けは、押し目買いのタイミングと判断します。
3番:買い増し
<移動平均線>
上向きの時
<価格>
一旦下落するが、移動平均線の手前で反発し再度上昇した時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
上昇トレンドの中の押し目買いや買い増しのタイミングとなります。
またこのパターンは視覚的にわかりやすいため、より多くのトレーダーが意識しているパターンと言われています。
4番:短期の逆張り買い
<移動平均線>
下向きの時
<価格>
移動平均線の下に大きく乖離した時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線からの乖離率を利用し、短期的にみると価格は移動平均線に収れんする法則を活用したリバウンド狙いのタイミングになります。
何%の乖離率で買いを入れるかは、扱っている通貨や銘柄の過去の値動きを参考にします。
グランビルの法則:売りサイン4パターン
ここでは、グランビルの売りの法則について解説していきます。
売りの法則は全部で4つあります。
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
5番:新規売り
<移動平均線>
横ばいもしくは下向きにかわりつつある時
<価格>
移動平均線を上から下に抜いた時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線の傾きが上向きだったところから、水平になるタイミングに注目します。
上昇トレンドから下降トレンドに転換するタイミングです。
一般的に新しくポジションを持つ場面が多いですが、既にポジションがある場合は、重要な利食いのポイントにもなります。
6番:戻り売り
<移動平均線>
下向きの時
<価格>
一時的にローソク足が移動平均線を上抜けした時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線の下降で下降トレンドと判断し、下降トレンド中の一時的な移動平均線の上抜けは、再下降する可能性が高いとする見方で、戻り売りのタイミングと判断します。
7番:売り乗せ
<移動平均線>
下向きの時
<価格>
一旦上昇するが、移動平均線の手前で再度下落した時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
下降トレンドの中の戻り売りや売り増しのタイミングとなります。
またこのパターンは視覚的にわかりやすいため、より多くのトレーダーが意識しているパターンと言われています。
8番:短期の逆張り売り
<移動平均線>
上向きの時
<価格>
移動平均線の上に大きく乖離した時
出典:TradingView「米ドル/円チャート」より
<ポイント>
移動平均線からの乖離率を利用し、短期的にみると価格は移動平均線に収れんする法則を活用したリバウンド狙いのタイミングになります。
何%の乖離率で売りを入れるかは、扱っている通貨や銘柄の過去の値動きを参考にします。
グランビルの法則で表示する移動平均線のパラメーター
グランビルの法則で使われている「移動平均線」とは、表示している時間足やパラメーターにより、形状が異なるインジケーターです。
よって、多くのトレーダーに使われている時間足やパラメーターを設定することが大切となります。
グランビルの法則では、一般的に表示されているパラメーターは、日足チャートでは200日移動平均線、1~4時間足チャートではより短い25期間や75期間といわれています。
このような、短期、中期、長期など複数の移動平均線を一度にチャート上に表示させることで、より多くのトレーダーが見ている様々なパターンを確認できるようになります。
グランビルの法則が使えないと言われる理由
このグランビルの法則は、多くの投資家が学び、活用している手法と言われる一方、実践では使えないと言われることもあります。
なぜなのでしょうか。
1つは、グランビルの法則がシンプルすぎるから。という理由があります。
一般的に、シンプルな法則は使いやすいはずなのですが、シンプルがゆえに、設定する時間軸やパラメーターを一つ間違えると、他のトレーダーが見ているものとは全く違う形状となってしまう上に、自身で気付くタイミングもありません。
シンプルな法則こそ、より多くみられている時間軸やパラメーターに設定することはとても重要なポイントとなります。
このグランビルの法則は、シンプルですが相場の原理原則、言い換えると需要と供給のバランス(買いたいと思う人がいれば相場が上がり、売りたいと思う人がいれば相場は下がる)を表しています。
よって、正しく使えば勝率はあがるものになるため、より正しい使い方を理解する必要があります。
また、このグランビルの法則は多くの人に意識されており、売買サインに達する前に前もって売買する人が増えて法則が成立しにくくなっている。とも言われています。
このような場合は、他のインジケーターも組み合わせてみた上で、自分なりの規則性を見出してみるのもよいかもしれません。
さらに今は、このグランビルの法則が考案された時代と比べて取引のデジタル化が進んでおり、高速で値が動くようになったため、以前のように参考にはならないとも言われています。
確かに、短期では高速の値動きに影響が大きいと思われますが、より長い時間軸で見ると、相場はやはり相場の原理原則に沿った動きをするものです。
時間軸を変えながら試してみるのもよいでしょう。
グランビルの法則とダウ理論の違い
投資を学ぶにあたり誰もが一度は耳にする分析手法として、ダウ理論というものがあります。
グランビルの法則とダウ理論の違いがよくわからないという投資初心者の方のために、ここではその違いを解説いたします。
グランビルの法則は、移動平均線の動きから導き出される8つの取引タイミングのルールであり、売買判断に利用できるものです。
それに対し、ダウ理論は値動きの傾向(トレンド)についての理論で、トレードの継続や終了を把握する際に使います。
値動きの傾向(トレンド)をダウ理論で分析し、実際の投資タイミングをグランビルの法則を使って確認するというように組み合わせて使うことで、より効率的な投資が可能となります。
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